ここでは更年期障害に効果のあると言われているハーブの種類や使い方を紹介しています。
更年期障害に効果のあるハーブ(薬用植物)はどんな人に適しているかなどの解説もしています。
目次
どんな人にハーブ療法は効果的か
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更年期障害の症状は軽いが、いくらか助けになるものがほしい。
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ホルモンを処方してもらうより、ハーブのほうが自然で体によいと思っている。
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乳ガンなどの副作用が心配なのでHRTは避けたい。
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HRTを受けているが、さらにハーブの効果もくわえたい。
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HRTで不快な副作用の症状が出る。
主な更年期障害用のハーブ
更年期によく使われ、よく研究されたハーブで、単独でも、また組み合わせても使うことができるものをご紹介します。
また、これらのほかにも有効なハーブはシャクヤク、ホップ、ヤクモソウなど、いくらでもあることをおぼえておいてください。
ドンクァイ(チャイニーズ・アンゼリカ)
ドンクァイはすぐれた植物エストロゲン活性をもち、精力や幸福感を増進するために女性の朝鮮ニンジンとも呼ばれ、無月経や月経不順、過多月経などに使われます。
ドンクァイは中国では「当帰」と呼ばれ、非常に広く使われているハーブで、生殖期、更年期をとおしてずっと使いつづける女性も多いということです。
ドンクァイは鎮痛、抗アレルギー、抗菌作用をもち、穏やかな筋弛緩剤の作用もあり、血管を安定させます。
広く市販されており、更年期のための調合薬は多くがこれをベースにしていると言ってもいいほどです。
ドンクァイはいつまで飲みつづけてもかまわないハーブです。アドンクァイはたいていのハーブ専門店や健康食品の店にあり、カプセルや錠剤やチンキになったものもあります。
チャスタべリー(セウヨウニンジンボク)
チャスタべリーは地中海地方を原産地とするセイヨウニンジンボクの実で、自然食品の店にはたいてい置いてあり、ヴァイテックスとも呼ばれます。
下垂体に深い作用をもつことが知られており、LH(黄体形成ホルモン)の分泌を増やしてFSH(卵胞刺激ホルモン)の生産を低下させ、それによってプロゲステロンの生産を増やし、エストロゲンを抑える働きをします。
主としてこの作用により、更年期のホルモン変動から来る月経不順を調整すると考えられています。
神経伝達物質のドーパミンに似た作用もあります。月経前症候群のような症状があったり、月経が過少で不順なときは、とくに効果的です。
食欲を抑え、うつを緩和し、睡眠を改善します。効果が現れるまでに何力月かかかることがあります。
ブラックコホシュ(アメリカショウマ)
ブラックコホシュ(アメリカショウマ)はアメリカでは何百年も前から知られており、先住民は月経痛を鎮めるのに使っていました。
漢方でも広く使われ、更年期障害用の調剤にもよく利用されます。エストロゲン受容体と結合して、更年期に起きるLHの上昇を選択的に抑制します。
エストロゲン効果により、ほてり、寝汗、気分の不安定なども緩和するし、一方では月経前症候群様の症状にも効果があります。
ブラックコホシュの規格化されたエキスはレミフェミンという商品名で売られており、ヨーロッパではなじみの深いハーブの一つでもあるし、HRTの代替法としてもよく研究されています。
臨床試験でもうつ、膣の潤い不足、ほてり、月経痛などへの効果が証明されています。ヨーロッパでは更年期障害をレミフェミンだけで乗りこえる女性も大勢います。
リコリス・ルート(カンゾウ根)
カンゾウ(リコリス)は温帯に育つマメ科の多年生のハーブで、丈は100センチを越えます。ツルと根の干したものを使います。
カンゾウの根は、昔からひじょうによく使われ、科学的研究もよく行なわれています。活性成分にはイソフラボンとリグナンがどちらも含まれ、エストロゲン効果をはじめ、消炎、抗アレルギー、抗バクテリア、抗ガン作用などいろいろな薬理効果があります。
エストロゲンとプロゲステロンの比率も調整するし、副腎機能を活発にするので、疲労回復にも効果が高いです。
更年期障害に効果があるハーブの注意点
以上のような更年期によく使われるハーブは、単独でも、組み合わせても、ほてりや膣の潤い不足、気分の不安定などをはじめ、更年期のさまざまな症状を緩和できます。
更年期障害用のハーブは、よく何種類かが組み合わされていますが、これはハーブが共同的に働き、それによって良い効果を現すことを経験豊かな専門家(薬草医、漢方医、ハーバリスト)が研究を積み重ねてきたからです。
ハーブの効果を実感するなら
ただし、ハーブの効果を実感するなら1月程度以上つづけたほうが良いといわれています。それでも症状が改善されないときは、ここに記したようなハーブをさらに追加するか、代わりのものを試すのが良いでしょう。
このページで紹介したハーブは更年期障害の女性が何千年も前から安全に効果的に使ってきたようなありふれたもので副作用もめったにないが、どんな食物や薬物とも同じで、人によっては、あるいは場合によっては、異常が起きることもあります。
また植物は毒性をもつことが知られているものも多く、そうしたものは必ず専門家の指導のもとで使わなければなりません。
一般にハーブの効果はゆっくりで、薬物は無論のこと、生体ホルモンよりも遲くまた徐々にしか現れません。したがってハーブ・サプリメントは少なくても3〜4週間は使ってみなければ、効果が出ないかもしれないということを覚えておきましょう。