足の静脈が青く盛りあがってうねっているのは見苦しく、何としてでも予防したいし、できてしまったら、最小限に食いとめたいものですね。
静脈瘤は見た目が悪いだけではなく、悪化すれば、とくに一日が終わるころには脚がだるかったり痛かったりすることもあります。幸いなことに予防の方法や、悪化を防ぐ方法はいろいろありますので、ご紹介していきたいと思います。
目次
静脈瘤とは?
静脈瘤は、別名を拡張蛇行静脈とも言うように、皮膚のすぐ下の血管が拡張して曲がりくねっている状態のことです。脚の血管がボコボコに浮き上がってくることが多いのも特徴です。
たいていはそれらの静脈の、血液の逆流を防ぐように設計された弁が壊れています。表面の血管が伸びて弾力を失い、また弁がきちんと閉じないために、血液が逆流して悪くなった血管内に溜まり、その部分が皮膚の下で膨らむわけです。
大きくなると、まるで青い毛虫が這っているように見えることもあるし、小さければ、ただ紫がかって見えるだけのこともあります。太ももにはよく小さな扇形にクモの巣状の静脈瘤が現れます。大きくても小さくても、いずれにしてもこの症状は血液循環が悪くなった結果です。
静脈瘤の原因
静脈瘤の基本的な原因は、精製した炭水化物が多く食物繊維が少ないという、心臓病や乳ガンや肌のトラブルなどにも通じる食生活です。
そういう食生活は、わかりにくい種類の栄養不足や、体重オーバー、便秘などを招き、そうしたところから腹腔内の圧力が高まって、下肢の血管に長期にわたって余計な圧力がかかることから血管が拡張し、静脈瘤が生じます。
慢性的な咳や、腹部の過剰な脂肪のために起きることもあります。
この症状はアフリカのいなかのような、主として自然のままの繊維に富む食物を多く食べている地域ではほとんど見られません。
しかし現代の日本のような食生活では、少なくとも脚に多少の静脈瘤が生じるくらいのリスクは誰もが負っているといえます。
静脈瘤はホルモンの変動とも関係し、女性の場合、月経周期の開始時と妊娠中、それに更年期のはじめには悪化します。そういう時期には、女性は血行の微妙な変化にも作用されやすく、血管壁にダメージを受けやすいためです。
したがってそういうホルモン関連の原因のために、静脈瘤は20代でも起きます。男性の場合はホルモンが関係するようには見えないし、起きる率も70歳まで同じです。
静脈瘤の対策法
静脈瘤がすでに生じていたり家系的にリスクが高いという女性は、長時間立っていることが予測されたら、必ず弾力ストッキングやサポートストッキングなどの伸縮性が高くて脚を引きしめる効果のあるものを着用することをおすすめします。
またできるかぎり脚を上げているようにすることも大切です。
すでに静脈瘤の症状があるなら、膝や腿までのふつうのストッキングは避けていただきたいです。てっぺんのゴムが血行を妨げ、より血液が溜まりやすくなるためです。
エストロゲン補充療法の用量を確認
エス卜ロゲン療法を使っているときは、用量が適切かどうかを確かめましょう。
低用量のエストロゲン補充療法ならば静脈瘤の原因になるようには見えないですが、たまにエストロゲンの補充をはじめてから、脚がうずくとか腫れる、あるいはすでにできていた静脈瘤が悪化したという女性がいます。
エストロゲン補充療法で血管の状態が悪くなったように見えたら、用量を減らす必要があるかもしれません。
便秘を防ぐ
水分と食物繊維を十分にとり、精製した炭水化物を極力減らした食生活をつづけ、便秘しないようにしましょう。
血行を良くする
筋肉を動かして血行を促進しましょう。
ウォーキング、自転車こぎ、ジョギング、水泳などのリズミカルな運動は血液をつねに動かし、筋肉の機械的な動きによって血液が静脈から心臓のほうへと押し出されます。こうした運動の習慣をもつことによって静脈瘤の前兆が解消され、脚がとても美しく見えるようになった女性が大勢います。
血管壁の栄養と保護
ハーブのビルべリー(ブルーベリーの野性種)には、アントシアノサイドと呼ばれるフラボノイド化合物が豊富に含まれています。
アントシアノサイドは強力な抗酸化物質で、細静脈の血液循環をよくし、血管 の内側を保護する働きがあるのにくわえ、プロス夕サイクリンと呼ばれるホルモン様物質の血中濃度を高める効果がある。プロスタサイクリンは一種のエイコサノイドで、血小板の凝集を抑制し、血液を流れやすくします。
ブルーベリー、ブラックベリー、ラズベリーなど他のベリー類にもフラボノイド化合物は豊富で、血管を健康に保つのに同様に効果的です。
血管の壁をつるつるに
研究によると静脈瘤をもつ人は、静脈の壁のフィブリン(繊維素)を分解する能力が落ちています。
フィブリンは血液を凝固させる血中のタンパク質で、これがプラスミノゲン活性化因子と呼ばれる酵素によって適切に代謝されないと、静脈の内側がフィブリンでおおわれてしまい、その結果、静脈と周囲の皮膚が固くごわごわになります。
正常ならば静脈の壁のなかには十分な量のプラスミノゲン活性化因子があって、フィブリンの蓄積を防いでいますが、血管が拡張したときは、この因子の濃度が落ちており、したがって 補ってやる必要があります。
パイナップルに含まれるブロメラインと呼ばれる物質は、プラスミノゲン活性化因子と似たような働き方をしてフィブリンを分解することが知られています。
ビタミンEを摂る
ビタミンEの不足は静脈瘤を悪化させるので、毎日確実にとっていただきたい栄養素です。
ビタミンEの摂取量は1日に60~250㎎程度が適切です。
治療法
静脈瘤が苦痛を伴い、上記の対策では効果がないときや、ショートパンツや水着姿になるのが恥ずかしいという場合は、圧迫療法や硬化療法、静脈ストリッピング手術という治療法があります。
これらの処置は、皮膚科医か血液外科等の専門家で行ないます。
どうしても静脈瘤に我慢できないとき、上に挙げた対策方法でも変化がないときなどは、病院での治療も検討しましょう。