自分では全く気づいていなかったけれど、親せきの家に泊まるなどして 「大いびきをかいて眠っていたよ」「隣の部屋まで聞こえた」と言われて初めて、いびきをかいていることを気づくこともあります。
若いころは全然いびきをかかなかったけれど、更年期の世代になりいびきをかきはじめるという人も少なくありません。
いびきの原因
いびきの原因は睡眠中に上気道(鼻やのど)のすき間が狭くなる、もしくはふさがってしまうことです。
狭くなったすき間を無理に空気が通ろうとすると、気道の組織が振動して音が出ます。いびきを止めるには、まず音が出ているのが、 のどからなのか、鼻からなのかを調ベる必要があります。
のどからの場合、口蓋垂(こうがいすい、のどちんこ)が大きい人、 扁桃腺(へんとうせん)が腫れやすい人、舌が大きい人がいびきをかきやすい傾向があります。
肥満も上気道の内側が狭くなってしまうので、 いびきをかくリスクが上がります。 太り始めてから急にいびきをかくようになった人は、体重を減らしたら 「あっさり治った」ということもあります。
また、年をとることもいびきが発生する要因になります。更年期になると気道の組織や粘膜が緩んで振動しやすくなるので、いびきをかきやすくなります。
鼻からの場合は、慢性的な鼻づまりや鼻内部の形状のせいで空気の通りが悪いと、いびきをかきやすくなります。
いびきの治療法は?
医学的な視点から見ると、「いびきをかく」だけなら、命に関わらないので治療の必要はないのですが、 女性の場合は気にする人が多いです。いびき単独で治療を希望する患者さんのほとんどが女性という報告もあります。
鼻から音が出ているいびきの場合、軽い場合は点鼻薬だけで改善することもありますが、その程度によっては手術の必要があります。
のどの場合も同様で、軽い場合はマウスピース、重症の場合は気道を広げる手術をします。費用は手術の場合 (健康保険適用外)で5万〜7万円ぐらい。日帰りで受けられますが落ち着くまで2〜3週間かかります。
マウスピースはタイプによって違いますが、製作期間は1〜2週間、费 用は5万〜35万円ぐらいです。
ただ、50代以降で気道の組織や粘膜が緩んできている人のいびきは、どちらの方法でも完全に根治するのはかなり難しいと考えたほうがいいでしょう。
睡眠時無呼吸症候群には要注意
いびきの中でも「大いびきがビタッと止まり、しばらくするとまたいびきをかき始める」というタイプは、睡眠時無呼吸症候群の可能性が高いので、すぐに専門医に相談が必要です。
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸か止まってしまう症状で、本人はしっかり寝ているつもりでも、前述のいびきとは違って常に熟睡できない状態が続くため、昼問に眠気が強く出たり、集中力が低下したりします。
「いびきかビタッと止まったときが、まさしく呼吸をしていない状態で呼吸が止まると全身の酸素が不足して、血管や心臓に大きな負担がかかるため、健康にも悪影響を及ぼします。
いびきをかき始めて3年ぐらいで睡眠時無呼吸症候群に移行しやすくなるという統計もあります。太った人だけでな く、あごの小さい人も無呼吸になりやすいので要注意。いびきをかく人 は、指摘されたら、途中で止まっていないか、家族などに確認してもらいましょう。
睡眠時無呼吸症候群は、普通のいびきと違って命にかかわることもありますので、必ず病院で受診しましょう。