更年期の物忘れ。これってボケ(認知症)の始まり?

更年期の物忘れ

『このところ物忘れがひどく、人や物の名前がスンナリと出てきません。 また、毎日やっている料理や洗濯などの家事でも手順をど忘れしたり、 「今何を取りに来たんだっけ?」と、それまでやっていたことが分からなくなったりします。家族は冗談半分に「ボケが始まったんじゃないの?」 と言いますが、正直不安でたまりません。やはりこれはボケの始まりなのですか?』

更年期になると物忘れが増えて、ついにはボケてしまうのではないかと心配になる方もいます。

更年期と物忘れ

閉経が近づき、エストロゲン(女性ホルモン)の分泌量が減り始める更年期に、「鍵を閉め忘れた」「人の名前が出てこない」などの症状が出るのはよくあります。

仕事がテキパキできなくなったり、「朝食を作りながらお弁当も」 など、二つのことが同時にできなくなったりすることもよくあります。

この健忘症状は、「エストロゲンが落ち着けば、症状も落ち着く」と考えてOKです。

健忘症状(物忘れ)は「まだ月経はあるけれど、エストロゲンはだいぶ減ってきた」という40代半ばから後半にかけて、最も出やすいのではないかと考えられています。

更年期の物忘れが起こる原因

なぜエストロゲンが減ると健忘症状が起こるのか。

その原因の一つは、エストロゲンと脳内伝達物質の関係にあると考えられています。エストロゲンは子宮など女性特有の臓器周辺で働くものと考えられがちですが、実は脳の中にも活躍の場が多く、セロトニンなどの脳内伝達物質の働きを助けています。

その助っ人であるエストロゲンが減ったことに、脳内の体制変更が追いつかず、一時的に神経活動が緩慢になってしまうというのが、物忘れの原因ではないかと考えられています。

更年期の健忘症はいずれ落ち着く

脳自体が少しずつ老化しているので「若いころのような状態の脳に戻る」とは言えませんが、普通はしばらくすると、脳もエストロゲンが減少した状況に慣れて落ち着き、健忘の症状も軽くなっていくようです。

また、「ホルモン補充療法(HRT)を受けたら症状が軽くなった」 「漢方薬(加味逍遥散など)を処方されたら良くなった」という症例もあるので、あまりひどいようなら婦人科の医師に相談をしましょう。

また、「ウォーキングに物忘れの改善効果がある」「市販の脳トレゲームが良い」という説もあります。

万が一の認知症にも注意

一方、物忘れが「50代で急にひどくなった」という場合は認知症の可能性もなくはありません。また、認知症は発症年齢や症状に個人差があり、40代での発症もゼロとは言い切れません。

日ごろから血圧が高い、 家族に認知症になった人がいる場合などは認知症の発症リスクが高くなるので、物忘れが酷いと感じる方は一度神経内科や精神科、脳ドックなどを受診しておくと安心でしょう。

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