更年期や閉経の診断には長い間、ただ年齢と症状だけで行われてきました。
しかし、最近はホルモンの濃度を検査することが有効と言われています。
ホルモンをチェックすれば更年期障害にそっくりの症状を現す病気と見分けることができるからです。
更年期の甲状腺ホルモン
更年期と言うと、とかく卵巣の機能ばかりに目が向きがちですが、更年期の症状が生じる身体的な基礎は、実際にはホルモンを生産する内分泌系全体の健康状態にかかっています。
甲状腺の問題は、更年期のあいだも、また閉経したのちも、ひじょうに多くなります。
問題があっても症状のまったくない女性も多いですが、さまざまな症状が出ることもあります。気分の乱れ(うつや、いらだちなどなど)、倦怠感、肥満、頭の混乱、不眠などが代表的なものです。
甲状腺の問題は閉経と密接な関係があり、その時期の女性の26パーセントが甲状腺機能不全(甲状腺ホルモンの濃度が不十分な状態)と診断されています。
また甲状腺ホルモンとエストロゲン優位のあいだに因果関係があるらしく、エストロゲンの勢力がプロゲステロンと釣り合わないと、エストロゲンが甲状腺ホルモンの活動を妨害することがあります。
その場合は、たとえ甲状腺が正常な量のホルモンを生産していても、ホルモンの効果がなくなるために機能不全の症状が現れます。また当然ながら、そういう状態でエストロゲンの補充を処方されると、プロゲステロンとのバランスがもっと崩れ、問題はもっと大きくなります。
ストレスが甲状腺の機能低下に
女性の甲状腺の機能低下は、喉のあたりでエネルギーが封鎖されたことから生じている場合が多いといわれています。これはこれまでの人生で、言いたい言葉を「飲みこんで」きた結果であります。
周囲の調和を保つために、あるいは家族や社会の弱いメンバーとして生きるために、あるいは女性が最も身近な人間関係においてさえ軽んじられてきたために、自己を抑圧することを身につけてしまった結果と言ってもいいでしょう。
こうした複雑な事態が背後にあるとすれば、問題の解決には、フロゲステロンと甲状腺ホルモンの補充だけでなく、人生と人間関係のどこを変えるベきかをじっくり見つめる必要があるだでしょう。
更年期の副腎ホルモン
副腎が疲労した状態で更年期を迎える女性も、現代にはとても多いです。
副腎は私たちがストレスや人生の重荷に耐えるのに必要なホルモンを分泌しています。
ストレスを受けていれば、エピネフリン、コルチゾールといったホルモンに過剰にさらされることから、気分の乱れ、睡眠障害、病気に対する抵抗力の低下、骨密度の低下、高血圧、肥満、アレルギーなど、さまざまな問題が起きてきますが、さらにその状態が慢性的になれば、やがて副賢自体が消耗します。
ストレスによる副腎疲労
副腎が疲労したという最大の兆候は日常生活の疲労感です。うつ状態や、生きる意欲がなくなるといった問題にも発展することもあります。
解決が必要な人生の問題が長らくそのままになっていれば、副臀の疲労の原因になります。そういう問題は吏年期の明晰な頭にはますます大きくそそりたって見えるでしょうが、副腎の疲労は更年期をさらに不快なものにするだけでなく、そういう問題に取り組む力まで失わせ、人生の後中に備えるチャンスさえ奪っていることがあります。
もしあなたが慢性的な疲労感をおぼえていたり、うつ状態にあったり、あるいは気持ちの休まるときうないと思っていたり、日常的なストレスでさえ手に負えないように感じていたら、副腎の機能不全を疑ってみる必要があるかもしれません。
更年期のストレスの元
つぎにあげるストレッサー(ストレスの元)は疲労につながり、さらには副腎の機能不全につながることが考えられます。また副腎の機能不全が、いくつかのストレッサーをさらに悪化させることもあるので注意が必要です。
・過度の絶え間ない心配、怒り、罪悪感、不安、恐怖
・うつ
・心身両面にわたる過度の労働(ただし、その労働から充足感が得られない場合)
・過度の習慣的な運動
・慢性的な夜ふかし、睡眠不足
・産業的な、あるいは他のかたちの毒物に慢性的にさらされる
・慢性的な重度のアレルギー
・癒されていないトラウマ、または怪我
・慢性病
・昼夜リズムの混乱(シフト勤務など)
・外科手術