あなたの骨の密度や質が低下する危険性がどれだけあるかを知りたければ、これから紹介するリストを見ていただきたいと思います。
リストの危険因子が一つも当てはまらなければ、おそらくあなたの骨は申し分ないものです。いまの健康な暮らし方を今後も維持しましょう。
反対に、いくつかの危険因子が当てはまったときは、骨粗鬆症のリスクが高い状況です。将来も「ちゃんと歩ける」ように、いますぐ正しい道に踏みだしていただきたいと思います。
目次
①母親が骨粗鬆症
母親が骨粗鬆症だった、もしくは大腿骨頸部などの骨粗鬆症による骨折を起こしたとしたら遺伝的に骨が弱い可能性があります。
骨粗鬆症は遺伝する傾向があります。
②非常に痩せているか、背が高いか、または華奢な体つき
非常に痩せているか、背が高いか、または華奢な体つきか、あるいは体脂肪が18パーセント以下である場合。
背が高くて、とりわけ骨格の小さい女性は、たんに数学的な理由でリスクが高くなることがあります。そういう女性は骨量にゆとりがないまま更年期に入ります。また更年期以降はエストロゲンの多くが体脂肪で製造されるので、体脂肪が少なければ、骨を支えるエストロゲンの生産も少なくなります。
③タバコを吸う
タバコの煙に含まれる化学物質は卵巣に害を与え、早くからホルモン濃度が低下します。エストロゲン、テストステロン、プロゲステロンは、いずれも骨を護るホルモンです。
④普段、ほとんど室内ですごす
日光を浴びないと、ビタミンDが不足することがあります。ビタミンDは骨の正常なミネラル化に不可欠ですが、通常、皮膚を日光にさらすことによって生体内で活性化されます。日光と骨の健康のつながりはきわめて重要です。
⑤座っていることが多い
ふだん、座っていることが多く、立っている時間が一日4時間以下である場合。
骨はつねに縦方向の力を受けていないと健康でいられません。座っていることが多いライフスタイルでは、骨の成長を促進する自然のウエイトトレーニングが不足します。
入院生活も骨粗鬆症をまねくことが多くの研究で知られています。反対にウエイトトレーニングを習慣にすると、エストロゲンの助けのない閉経後の女性でさえ骨密度が上昇します。
⑥過度の運動をしている(していた)
現在またはかつて、フィットネスマニアで、日課にしているランニングなどの体カづくりの運動が行なえないと、いらだったり不機嫌になったりする(した)場合。
フィットネス(体力づくりや減量のための運動)に過度に熱心になると、厳しい食事制限やマラソンのような激しい運動を習慣にしがちになりますが、そうした生活習慣はミネラル不足を招くことがあります。
また視床下部・下垂体系と呼ばれる、脳と身体とホルモン濃度の絶妙な連携も乱すことになります。
バレエダンサーや体操、サッ力ー、マラソンの選手などに起きる疲労骨折は、適切なカロリーやミネラルを摂取せずに過剰な運動をつづけた結果です。こうした骨折が近ごろ若い運動選手に多発しており、後年の骨粗鬆症の下地になることが考えられます。
⑦無月経だったことがある
過剰な運動や神経性無食欲症(拒食症)、またはその両方から無月経だったことがある場合。
無月経は、うつに見られるのと似た視床下部・下垂体系の混乱を招き、そこから来るエストロゲン、アンドロゲン、プロゲステロンの低下とエイコサノイドのある状態が、骨粗鬆症や他の病気につながっていきます。
⑧お酒を飲むのが好き
毎日25グラム以上のアルコールをとる場合。
10グラムのアルコールは、ビール340ミリリットル、ワイン110リリットル、80度以上の酒類40ミリリットルに相当します。アルコールは造骨細胞と破骨細胞の両方の機能を妨害するために、新しい骨をつくる能力も、古い骨を再構築する能力も損なわれます。
また、肝臓が疲労している場合も骨粗鬆症を招きます。
エストロゲンを生産し代謝する肝臓の能力は、どの年齢でも、強い骨を育て維持するのに不可欠です。1日に2缶以上のアルコール飲料や、肝臓に負担のかかる薬(ある種のコレステロール降下剤などの)、それに肝炎などは、肝臓をいちじるしく疲労させ、骨の健康を害することがあります。
⑨カフェインを多く摂る
毎日2単位以上のカフェインを摂る場合。
220ミリリットルのコーヒーには1単位の、320ミリリットルのコーラには0.4単位のカフェインか含まれます。
カフェインは尿中に排出されるカルシウムを増やすので、カフェインをとればとるだけカルシウムを失います。
カルシウムの摂取量がもともと少ない場合は、毎日カフェインをとると、長いあいだには無視できない骨の損失が生じます。反対にカルシウムや他のミネラルの摂取量が日ごろから多ければ、1日に2,3杯のコーヒーは問題になりません。
⑩ある程度の期間、病的なうつの状態にある(あった)
うつはそれだけで骨粗鬆症の危険因子になることが多数の研究で知られています。うつ病の人は、IL-6と呼ばれる免疫化学物質の濃度が高いですが、この物質は破骨細胞を過剰に刺激します。
またうつ病は、視床下部・下垂体・副腎系の異常と、コルチゾール分泌の上昇にもつながり、骨を失う下地をつくります。
⑪ジャンクな食生活
新鮮な食物や緑の葉物野菜が少なく、ジャンクフードが多い食生活は、ミネラルをはじめとする栄養素の不足を招きます。
⑫早期閉経(40歳前の閉経)した。
早期閉経、あるいは卵巣の外科的除去や、X線療法や、化学療法のために閉経した場合。
あるいは早くから白髪になった場合。いかなる理由であれ、時期尚早の閉経にいたったときは、本来ならば体内で高濃度のホルモンが生産される期間、ホルモン補充療法を受ける必要があります。さもないと骨粗鬆症のリスクが上昇します。
外科的措置によらない早期閉経と、それに伴うことが多い若白髪は、自己免疫反応が卵巣と毛包に作用したためです。そういう反応がなぜ起きるのかは明らかになっていません。
⑬ステロイド剤を習慣的に服用
ぜんそくや狼瘡(SLE)などでステロイド剤を習慣的に服用している場合。
ステロイド剤は、皮膚と骨のコラーゲン基質をはじめ、体内の組織の分解を促進します。
また、ステロイドはビタミンDに対する腸の感度も弱めるために、カルシウムの吸収が低下します。ステロイドの長期的な使用は、エストロゲンとアンドロゲンの濃度も大きく低下させます。
⑭抗けいれん薬、またはべンゾジアゼビン系の精神安定剤を常用
抗けいれん薬、またはべンゾジアゼビン系の精神安定剤を常用している場合。
ジアゼパム(商品名はバリウム)、クロルジアゼポキシド(リブリウム)、ロラゼパム(アチバン)などの精神安定剤や鎮静剤は、骨の代謝を妨げます。
⑮甲状腺に障害
甲状腺亢進症の女性は、甲状腺ホルモン(サイロキシン)が過剰になるために、破骨細胞が刺激されて骨が分解される危険があります。
甲状腺機能低下の場合も、投薬の用量が高すぎれば、同じ危険があるかもしれません。
甲状腺に障害があるときは、できるだけ低用量で甲状腺ホルモンの補充を行ない、骨の健康を維持する穏やかなプログラムにしたがっていきましょう。
骨粗鬆症のリスク
あなたはいくつ当てはまりましたか?複数当てはまったら要注意です。
生活習慣を変えるか、骨粗鬆症のリスクとなっている要因をなくす努力をしましょう。
骨粗鬆症になるリスクが高いかどうかにかかわらず、骨は体の他の部分と同様に、つねに変化している生きた組織であることを理解しましょう。
すなわち薬を選ぶことや食物を変えることをはじめ、骨を築くために私たちにできることはたくさんあるということです。
また、骨粗鬆症の危険因子のいくつかは、心臓病の危険因子でもあることに気づかれたかもしれません。骨の健康に留意することは、心臓のためにもなるのです。