更年期の体を助けるビタミンやミネラルや、植物エストロゲンなどを豊富に含んだ食物は、ふだん見慣れたもののなかにもたくさんありますが、なかでも抜群に役立ってくれるのが、大豆です。
どのタイプの更年期治療を選んだ場合でも、大豆を毎日の食事に取り入れることをおすすめします。
目次
更年期障害の味方「大豆」の効果
大豆は薬用植物と同様、HRT(ホルモン補充療法)のかわりになります。HRTとほとんど同じ効果があるうえに、リスクも副作用もいっさいありません。
すでにホルモンを使っている女性にも、大豆をとることでいい効果があります。毎日の食事に大豆や他の植物エストロゲンをたっぷりくわえると、ホルモンの用量を全体的に減らしても、同じ効果を保つことができます。
ホットフラッシュにも効く
毎日食事に大豆タンパクを必ずくわえることで、ホットフラッシュをはじめとする更年期の症状の、強さも頻度も低下することが大きな医学研究で確認されています。
じっさい大豆タンパクは、体のあらゆるところに効果があるらしいことがわかっています。
肌、髪、爪によいと報告する更年期の女性はとても多いし、2、3力月たっぷりと大豆をとると、膣の潤いが閉経前のころに戻るという報告も多数あります。
気分の不安定、月経前症候群、片頭痛、月経不順、肥満などの解消にも役立つし、腎臓をとおしてカルシウムが失われるのも減らします。
更年期の女性の脂肪を減らし、脂肪のない組織を増やす効果もあります。また、増殖抑制作用があるために乳ガン、子宮内膜ガンのリスクも低下させることが知られています。
大豆の効果の実例
これらのほかにも大豆の効果は何百という研究で証明されています。たとえば閉経後の女性50人を追跡した最近の調査では、1日にコップに3杯の豆乳を飲むか、片手に3杯の煎り大豆を食べて、合計60〜70ミリグラムのイソフラボンを毎日、1~2週間摂取しつづけたところ、以下のような結果が報告されました。
心臓への効果
HDL(善玉)コレステロールが5.5パーセントの増加、LDL(悪玉)コレステロールが9パーセントの減少をしめした。
大豆にコレステロールを下げる力があることは、他の多くの研究でも証明されており、じっさいFDA(米国食品医薬品局)は、大豆タンパクが冠動脈疾患のリスクを下げるという主張を認めている。血管の反応性を高めることも知られており、これが片頭痛の緩和につながる。
骨への効果
骨形成のマーカーであるオステオカルシンが13パーセント増加し、破骨細胞オステオクラストのマーカーに14パーセントの減少が確認された。これによって大豆夕ンパクに骨形成の、エストロゲンにはない種類の作用があることが明らかになった。
イソフラボンは、骨密度をあげることがわかっている。
結腸ガン、腸疾患への効果
大豆タンパクを強化した食事療法によって、結腸ガンの病歴がある人や、前ガン性のポリープを除去した人の、結腸ガンの発生が減る傾向があることが明らかになっている。ミシガン州立大学はこの調査結果から、大豆を食べている患者はガンの発生率が50パーセント低下するだけでなく、発生の時期も10年から15年は遅らせられるとしている。
動物実験でも、大豆タンパク(鍵剤のイソフラボンでない)が、結腸の前ガン症状を逆転させることが何度もしめされているし、また大豆がクローン病のような炎症性の腸疾患や、潰瘍性大腸炎を抑えることも明らかにされている。
選択的エストロゲン受容体調節剤(SERM)と大豆
夕モキシフェンを使っている女性の多くが、大豆の摂取量を増やすことによって、ほてりや、うつゼ状などが軽減したと報告している。
どのくらいの量の大豆を食べるべきか
更年期障害の症状緩和にはどれくらいの量の大豆を食べればよいのでしょうか。
効果を実感するにはだいたい1日に100〜160ミリグラムの大豆イソフラボンを摂ることが推奨されています。
35〜50ミリグラムの大豆イソフラボンをとるには、だいたいつぎの量の大豆食品が必要になります。
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豆乳1カップ(250ml)
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豆腐2分の1丁
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枝豆2分の1カップ(生でも冷凍でも)
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煎り大豆片手に軽く2、3杯
上記の大豆食品を参考に100~160ミリグラム程度になるように調整して食べるのが良いです。
大豆は男性にも良い効果
家庭のふだんの食事に大豆をくわえると、更年期障害の女性だけではなく家族にもいい効果があります。
大豆タンパクは男性の前立腺の組織を健康に保つことも知られており、じっさい大豆のサプリメントを使いだしてから、夜中にトイレに行く必要がなくなったという人もたくさんいるほどです。
有機栽培の遺伝子組み替えでない大豆を使おう
いまアメリカで収穫される大豆の20パーセント以上は、遺伝子組み替えがなされたものと言われています。
遺伝子組み替えは、干ばつへの耐性や他のすぐれた性質を高めるために行なわれますが、そうした遺伝子工学が倫理的にも、また健康への配慮からも不穏な疑問を呼んでいます。
現にヨーロッパでは、この新技術への不安から生物の遺伝子組み替えが禁止されるにいたっており、アメリカでもいま同じ動きが活発になっています。
少なくとも健康や環境へのリスクがもっとはっきりするまでは、大豆は有機栽培された遺伝子組み替えでない表示のあるものを使いたいものです。