暑くもないのに滝のような汗。 気にすると、もっと出るような気かする。
これが噂に聞いていた更年期の大汗!?という感じで、周囲の人が平気なときでも、自分だけ大汗が止まらないということはありませんか?
恥ずかしいので「汗よ止まって!」と思うと、余計にダラダラ出てくるような気がしてくる……。
粘っこい汗で、特に頭、顔、首がひどい。時間がたつと汗臭さも気になる。こんな症状が更年期では目立ちます。
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更年期の汗
「少し前まで冷え性だったのに、突然暑がりになった」 、「汗が止まらない」というのは更年期の女性に多い悩みです。
更年期の症状の中でも、ホットフラッシュや大汗は、閉経後まで長引く症状の代表格です。営業職など、人と会う機会が多い人ほど「相手に不快感を与えているのでは?」と、悩みが深いようです。
汗なんか、病気のうちに入らないと思うかもしれませんが、「人前で汗をかいてしまったらどうしよう」「汗がにおってしまったらどうしよう」といった不安が、 生活に支障を来すようなレべルなら、一度、医師に相談したほうがいいですね。
一般的な多汗症なら形成外科やペインクリニツクなどを受診しますが、年齢的に更年期前後であれば、 まずは婦人科医に相談してみるのがいいでしよう。ホルモン補充療法 (HRT)や漢方治療などを受けるうちに「汗が気にならなくなった」 というのはよくある話です。
精神的発汗とは
また、「止めようと思えば思うほど汗が止まらなくなる」というのは精神性発汗の特徴的な症状です。
精神的発汗とは、緊張したときや不安を感じたときなどに大汗をかいてしまうことです。更年期は独特のイライラ感や不安感があり、この精神性発汗が強く出やすい時期だといえます。
ストレスを強く感じるときは、カウ ンセリングや自律訓練法などの心理的療法を受けてみるのも選択肢の一つです。
更年期の汗は臭う
さて、においの問題ですが、「粘っこい汗」、「汗臭さが気になる」というのは気のせいではありません。
実際、更年期の汗はスポーツなどでかくサラサラした汗と違って、ベタベタしがちでなかなか蒸発しません。
また、更年期の汗にはアンモニアなどのにおい物質が多く含まれていて、汗が酸化して臭くなるだけでなく、汗そのものがにおいの原因になりやすいのです。
更年期の汗への対策
「できるだけ気にしない」というのは、実際にはなかなか難しいので、 ここは一つ、「汗をかいても大丈夫」 と思える対策を講じておきましょう。
みょうばんタオル
用意するのは、みょうばん水と小さめのタオルです。みょうばんにはアンモニア系の臭いを中和して消す効果があります。
みょうばん水はミネラルウォーター2リットルに50gのみょうばんを溶かして作ります。
これを含ませた濡れタオルを持ち歩いて、汗をかいたらすぐ肌を拭いてしまいましょう。
みょうばんは薬局などで買えます。
ペーパータオル
濡らした厚手のぺーパー(紙)タオルを凍らせて持ち歩き、いざというときに襟足や髮の生え際などをピンポイントで冷やすのも効果的です。
汗を拭き取るのではなく、肌に当てて冷やすだけなので、お化粧も崩れない。紙だから使い捨てできます。
汗のにおいが気になる人は、みょうばんや、エタノール(アルコール)に浸したコットンなどを携行し、訪問先に入る前に、足の指の間やわきの下を拭くと良いです。
身体を圧迫する(発汗反射)
また、顔や頭の汗を一時的に止めたいというときは、人体の「発汗反射」を利用するという方法があります。
体は一定の部分に圧迫を受けると、一時的に汗をかかなくなる仕組みになっています。これを発汗反射と言います。
顔や頭の汗を止めるなら、両乳首の5cm上ぐらいをギュッとつねるか、指で強く圧迫します(皮膚への刺激がポィントなので、バストトップが下がっていてもこのくらいの位置でOK)。
ブラジャ—のホックをいつもよりきつくするのも有効です。
ただし、体全体の汁の量が減るわけではないので、顔の汗が減った分、他の部分の汗が増えるということも覚えておきましょう。
更年期の体温調節
頭の隅に置いておきたいのは、暑い屋外と冷房の効いた室内 (その逆もあり)を出たり入ったりする現代の生活では、更年期でなくても体温調節が難しく、汗をかきやすいということです。
もう一つは、汗をかくのは人間の体にとって大切な機能だということ。真夏の暑い日など、必要なときに汗をしっかりかけないと、体内に熱がこもり、熱中症も心配です。
加齢でエストロゲンの分泌量が減ると、卵胞刺激ホルモン (FSH)が増える。これがホットフラッシュや大汗などの原因の一つとも言われています。
卵胞刺激ホルモン (FSH)が増えると自律神経のバランスを崩しやすく、動悸がしたり、 上半身・下半身の体温調節がうまくいかなくなつたりして、いわゆる「冷えのぼせ」の状態に陥りやすいのです。
女性ホルモンの減少が原因で起こる不調ですから、ホルモンを補充する治療で症状は改善されることもあります。
8週間ぐらい続けるとかなり症状が安定してくるので、「真夏の結婚式に涼しい顔で出席したい」とか、大事なイべントの前後だけ単発的にホルモン補充療法を受けるのもおすすめ。 ホルモン補充療法は「一度始めると、やめられないのでは?」と思っている人が多いのですが、いつやめても問題はありません。
また、劇的な改善は期待できませんが、漢方薬の加味逍遙散(かみしょうようさん)や桂枝茯苓扎(けいしぶくりようがん)などもじわじわと効いてきます。
更年期の加齢臭
汗の臭いだけじゃなく、普段の体臭も気になってきた……。そんなことはありませんか?
できるだけ清潔にするよう心掛けているが、頭髪などが以前より脂っぽく、違和感のあるにおいになったように感じる。これは加齢臭なのでしようか?においを抑えるにはどうしたらいいのでしょうか?
加齢臭とは
加齢臭とは、40代以降になると出てくる中高年特有の臭いです。
人間の皮膚は皮脂を分泌することで潤いを保っていますが、 中高年になると、この皮脂の中に特定の脂肪酸が増えてきます。同時に体内で活性酸素も増えてくる。この二つが反応してできるのが、加齢臭の原因になるノネナ—ルというにおい成分です。
加齢臭=オヤジ臭というイメージで、男性特有の問題だと思われがちですが、実はノネナールの産生は男女共通です。しかも女性ホルモンが急減する閉経期以降は、「女性のほうが多い」ともいわれます。
臭いが気になったら生活習慣病の疑いも
加齢臭は加齢に伴う変化ですから、ある意味、自然なことです。ただし、 「最近、急ににおいが強くなった」 という人は、生活習慣病のリスクが上がったという警鐘と考えましょう。
というのも、加齢臭と生活習慣病には共通点があるからです。
脂肪分の多い食生活など不摂生を長年続けて年を取ると、血管にコレステロ—ルがたまりますが、これと同じように皮脂腺にも前述した脂肪酸が増えるのです。つまり、ノネナールの材料が増えてしまうというわけです。
またストレスやたばこなどの影響で体内の活性酸素が増えると、生活習慣病に悪影響を及ぼします。同時に、活性酸素が増加すると脂肪酸が酸化されやすくなり加齢臭のもとであるノネナールも増えると考えられています。
ノネナールの産生を抑えて加齢臭を防ぐには、まず、食生活の改善を。 ポイントは二つあります。
一つは、 脂肪をとりすぎないこと、もう一つはビタミンCやE、ポリフェノールなど、抗酸化成分を含む食品を積極的にとって、活性酸素の発生を抑えることです。
活性酸素を抑えるには、ストレスをためないことも重要です。体を清潔に保つのは大切ですが、気にしすぎ、 洗いすぎはよくありません。
加齢臭には重曹水がおすすめ
ノネナールのにおいは菌の繁殖によるにおいとは異なるので、抗菌作用のある汗拭きシートなどでは抑えられません。
重曹水 (水1リットルに重曹50gが目安)をスプレー容器に入れて持ち歩き、気づいたときに首の後ろや背中など皮脂の分泌が多い部分に吹きつけ、タオルで水分を吸い取ると、中和されて、 皮脂の酸化臭をかなり抑えることができます。
また、ノネナールは下着や服に染み込んで残りますから、皮脂汚れに強い洗剤などを使い、こまめに洗濯するようにしましょう。