更年期の男女にとって、尿トラブルはよくある悩み事です。
女性は骨盤底筋のゆるみ、男性は前立腺肥大症が、尿トラブルの主な原因になります。
女性は尿漏れ(尿失禁)、男性は排尿困難や頻尿が特に問題になりやすいといわれています。
更年期の男女に多い尿トラブル
女性も男性も、尿もれや頻尿など尿トラブルの症状が現れやすいのは、更年期障害をむかえる40代後半から50歳前後と言われています。
そして、その主な症状は、女性では「骨盤底筋のゆるみ」、男性では「前立腺肥大症」です。
腎臓で作られ、尿管を通って膀胱にたくわえられますが、これらの臓器に構造的な男女における性差はありません。しかし、尿道の長さと尿道周りには性差があります。
女性の尿漏れ
女性の尿道は3~4㎝と短いため、尿道の開閉に骨盤底筋が関わってきます。
このため女性の場合は、骨盤底筋がゆるむことで尿もれが起こりやすくなります。
男性の前立腺肥大症
一方、男性の尿道は15〜20㎝と長く、骨盤底筋も存在しますが、女性より強力なので、すぐにゆるむことはなく、尿道の周りを囲んでいる前立腺の方が尿道の開閉に関係します。
前立腺肥大症により尿道が狭まって尿が出にくくなり、長い尿道に尿が残って排尿時に尿もれすることがあります。
男女とも、更年期に尿卜ラブルが現れやすい
尿トラブルを感じ始める年齢は、男女とも更年期の時期が多いのは、性ホルモンの分泌が減少していくことに関係があります。
私たちの体には、健康を維持できるように身体機能を調節するシステムが備わっていますが、その1つが、体内で作られる化学物質「ホルモン」の適切な量の分泌です。
女生ホルモンの「エストロゲン」は、肌や毛髪だけでなく、尿道や骨盤底筋の張りや弾力を保つ作用もあります。
しかし、50歳を中心にした前後10年間(45〜55歳)の更年期には、このホルモンは次第に減少するため、尿失禁や頻尿など尿トラブルが始まります。
男性ホルモンの「テス卜ステロン」は、簡や骨格の形成に作用しますが、40歳から60歳にかけて減少してきます。
このホルモンの減少は、射精や排尿の時に収縮する前立腺が異常に大きくなることにつながり、前立腺肥大症を引き起こします。
そして、夜間頻尿、残尿感、排尿困難などに結びついていきます。
尿トラブルで病院の何科を受診する?
尿卜ラブルがある時、男性は「泌尿器科」、女性は「婦人科」や「泌尿器科」を受診しましょう。
男性の生殖器は、精巣、精巣上体、精嚢、前立腺、尿道球腺、陰茎、陰嚢などですが、このうち、尿と精液が運ばれる陰茎と尿道が泌尿器と生殖器に共通しており密接な関係あるので、泌尿器科では、この2つの器官の病気を一緒に取り扱います。
これは2つの器官がつながっていて、病気の症状や広がりが重なることが多く、「生殖器も泌尿器も男性ホルモンに左右される」ことが理由です。
女性の場合、「婦人科」で妊娠以外の女性の性病や更年期障害などの治療を行います。
ただ、最近は生殖器と泌尿器の密接なつながりから、女性の生殖器を「泌尿器科」で診察し、女性の泌尿器を「婦人科」で診察することもあります。
また、共同で診療することも以前に比べて垣根がなくなってきました。ただ、まだまだ泌尿器科に行く勇気の出ない女性も多いのが現状です。
女性が更年期の尿トラブルに困ったら、婦人科(産婦人科)を受診するというのも一つの手です。