更年期を迎え、気になるのは「いつ」閉経するのかということ。
このページでは、「閉経がいつ、どのように迎えるのか」を基礎知識ともに解説していきます。
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更年期と閉経の関係
更年期は卵巣の働きが低下して、女性ホルモンのエストロゲンが減少していく期間です。男性では精巣の働きが生きている間に自然停止することはないので、これは女性特有の変化です。
卵巣の機能がついに停止した状態が「閉経」で、卵巣から分泌されるエストロゲン量はゼロに。その後はエストロゲンに依存しないホルモン環境がつくられていきます。
つまり更年期は新たなホルモン環境に体がなじもうとしている過渡期なのです。
エストロゲンは女性の生殖機能を担うだけでなく脳にも作用するので、メノポ期には不調を感じる人が増えます。 とはいえ性ホルモンに対する感受性は個人差が大きく、症状がほとんどないまま、この時期を過ごす人もいます。
どのように閉経していくのか?
卵巣の働きが低下してきたサインは、最初に月経周期の乱れとして表れます。
卵巣の働きは脳下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモン(FSH)がコントロールしています。卵巣の働きが抵下すると、FSHの分泌が増えて卵巣を刺激します。そのため、 最初のうちは排卵が早まって、 月経周期が短くなる場合が多いです。
これはFSHの命令に応えられる余力が卵巣にまだあるから。その後、FSHの命令に、卵巣が応えられなくなると排卵が起こらなくなり、月経周期は長くなります。そして、やがて閉経を迎えるというのが最も多いパターンです。
実際、月経周期が長くなって閉経を迎えた人が最も多くいます。ただし、月経が順調だった人が突然閉経する場合も約14%あり、閉経の迎え方は個人差が大きいようです。
半年間月経がなくても、ふと思い出したように卵巣が働いて月経が再開することもあります。そのため医学的には、1年間月経がない状態になって初めて「閉経した」と判断されます。
3つのタイプ
自然閉経
自然の閉経は、卵巣が少なくとも一っはある女性に起き、ふっうは45歳から55歳のあいだにだんだんに起きます。
その移行の期間は大半の女性が5年から10年のあいだです。人によっては13年ぐらいかかることもあります。そのあいだに月経が何か月か止まって、またはじまったりもします。月経の日数も苦痛も、出血量も、減ることもあれば増すこともあります。
自然の閉経を迎えるとき、何の処置も必要としないか、あるいは体をらくにするために何らかの処置が必要になるかは、人によって違います。
とくに病気もなく、変化もゆっくりでも、体が要求の変化についていけるかどうかは、体と人生に、他にどんなことが起きているかで変わってきます。
早期閉経
早期閉経は、卵巣が少なくとも一つは30代から40代はじめの女性に起き、時期が早いだけでなく移行の期間も短くなります。
女性のだいたい100人に1人は、40歳前に閉経を迎えていいます。
病気(自己免疫疾患や栄養障害など)が原因のこともあれば、慢性的なストレス(たとえば過剰な運動の習慣など)が、ホルモンに関連する生殖機能を阻害して起きるともあります。
移行の器官は自然閉経の場合より短く、だいたい1年から3年。移行が急速なのと、もともと体が早期の変化を呼ぶような状態のことが多いので、たいていは体が適応するまでのあいだホルモンの補充が必要になることが多いです。
人工閉経
人工閉経は唐突に起こされます。子宮や卵巣が手術で除去されたり、卵巣への血流が外科的に断たれて起きることもあるし、放射線療法や化学療法の副作用のこともあります。
あるいは、子宮筋腫を退縮させるといった医学的な理由で、閉経または偽閉経を起こす薬物が使用された結果のこともあります。
不妊手術の卵管結紮でも、処置のあと少なくとも一年間はプロゲステロンの生産が低下することが知られています。
また子宮を摘除した場合、卵巣が残っていても、月経がなくなるのは無論のこと、ホルモンの変動による症状も現れます。
検査で閉経の時期は予測できる?
閉経すると血液中のエストロゲン濃度は10〜20pg/ml以下になる一方、FSHは40ml以上に上昇したまま下がらなくなります。
閉経前はエストロゲン値の変動が大きく、測定時期によって数値が変わりますが、FSHは卵巣が元気なうちは上昇することはありません。エストロゲンがある程度保たれていてもFSHが上昇していれば、卵巣機能が低下してきたとを推測できます。血液検査で分かるのはここまでです。
一般的には、月経周期が乱れ始めて30か月以内に最終月経もしくは閉経に至るとされています。ただ、これも人によってある程度の幅はあります。
55歳を過ぎても閉経しない。そんなこともあるの?
よく「初潮が早かった人は閉経も早い」と言われますが、これは医学的には何の根拠もありません。初潮が早かった人は卵巣の機能が良いことが多く、逆に遅くまで月経があることも多いとも言われます。
55歳を過ぎても月経があるのは別に異常ではありませんから、無理やり止める必要はありません。ただ、エストロゲンが長く出続けることで、 子宮体がんや乳がんのリスクは高くなりますから定期的な検査を受ける必要があります。
また、閉経か遅い人の中にはアンチエイジング系サプリメントなどで女性ホルモン物質をとり過ぎていて、それが不正出血につながり、閉経していないと勘違いするケースもあります。成分が単一でない複合サプリを複数とっていると、知らないうちに大豆イソフラボンなどを大量にとることになる場合もあるので注意が必要です。
40歳を過ぎたばかりなのに閉経したかも…。早すぎない?
43歲未満で閉経を迎えることを「早発閉経」といいます。閉経と同じように更年期症状が出ることがあります。
その場合、特に不快な症状や不自由がなければ、そのまま月経を戻す治療をしないというのも一つの選択肢です。ただ、閉経するとコレステロール値が跳ね上がったり、骨粗しょう症のリスクが上がったりするので、 注意が必要です。
ただ、骨密度などを考えると、やはり40代前半の閉経は早いです。1〜2年、月経を戻す治療をすることもあります。今はライフスタイルが多様ですから、40代だとこれから結婚、妊娠ということもあり得ます。もし妊娠したいなら月経を戻すのはもちろん、一刻の猶予もありません。 すぐに体外受精なども視野に入れた専門家によるケアが必要です。
閉経すると下腹が出やすくなる?
最後に、閉経と体型の変化についてです。
閉経すると下腹が出やすくなります。理由のひとつは女性ホルモンのエストロゲンが減ることです。
エストロゲンには、お腹から内臓脂肪を追い出す働きがあるといわれています。そのため、豊富なうちはくびれやすいのですが、閉経後はエストロゲンの分泌が激減する一方で、内臓脂肪をためやすくする女性ホルモンの働きが強くなってきます。
その結果、食べすぎや運動不足の男性がすぐに太鼓腹になるのと同じように,更年期の女性も下腹が出やすくなってくるというわけです。
太りやすくなる閉経後は、それまで以上に運動することが大事になってきます。体型を維持することと同時に、運動は更年期障害を軽減する効果もありますので、是非、習慣にしたいところですね。