ロの中が乾いてヒリヒリして痛い。
最近、唾液が少なくなってきたみたいで、ロの中が乾く。ひどいときは舌がヒリヒリするほど。口臭も気になる。同時に、フランスパンやクッキーのようなパサパサして硬いものが食べにくくなってきた。
そんなことはありませんか?
更年期によるドライマウスの可能性大
そんな症状の場合、ドライマウスの可能性が大きいです。ドライマウスはセルフケアでも症状は軽減するはずです。
ロの中が乾いて痛んだり、食べ物が飲み込みにくいというのは、ドライマウスによくある症状です。
ドライマウスは、唾液の分泌量が減るためにロの中が乾いた状態になることで、更年期世代に多いのが特徴です。いわゆる病気ではないため、 研究が遅れ、原因ははっきりしていませんが、加齢で唾液量が減ることや、潤いを保つ役割をするエストロゲンの低下も一因とされ、50代から特に女性で急増します。
また、最近は、40代でも増えている印象があります。
冒頭の症状のほか、ロの中がネバネバする、しゃべりにくいなどの訴えもあります。口内が乾いて舌が荒れるため 「お寿司の酢やしょうゆがしみて痛い」という人もいます。
受診するなら「ドライマウス外来」や「口腔乾燥外来」
また、口臭が気になって口臭外来で唾液量を調ベたら唾液が全く出ておらず、ドライマウス外来を紹介されて受診する人も少なくありません。
現状では、耳鼻咽喉科や歯科、内科を受診して「原因不明」、「精神的なものでは?」と言われ、病院を転々としたり、精神科や心療内科を紹介されることが多いようですが、受診すべきなのは、歯科口腔外科などの 「ドライマウス外来」や「口腔乾燥外来」です。
ドライマウス外来では、症状の問診のほか、口臭測定、舌の湿度、唾液量などの検査を行います。「唾液は出にくい」と訴える人でも、ものをかんでいるときには出ますから、 ロに何も入っていない状態と、かんだ状態の両方をチェックします。
また、ドライマウスの背景にはシェーグレン症候群という膠原病の一種が隠れていることもあるので、鑑別が必要です。血液検査や唇組織の病理検査、眼科でドライアイの兆候の有無の検査などが必要です。
ドライマウスの治療法は?
治療は「治す」というより、症状を「楽にする」ことに重点を置き、 症状や生活スタイルに合ったセルフケア法を考えます。
よく使われるのはジェルタイプの保湿剤。なめる要領で口の中に広げると、唾液の被膜が作られるような感じで、痛みが軽くなります。ほかに保湿効果が高いマウスウォッシュや、保湿効果の高い歯磨き粉などがあります。
ジェルタイプの保湿剤は10種類以上あり、 1か月分で2000円程度、マウスウォッシュは1000円程度、歯磨き粉が1700円程度です。
こうしたケア用品は一生使い続けなければならないわけではありません。大抵の人は、口の中が楽になるにつれ、「使い忘れちゃった」ということになります。これは、使わなくてもよくなったということで少しずつケアグッズの種類や数を減らしていけます。
そのほか、生活で気をつけたいのは「何でもよくかんで食べること」。口の中が痛いと、あまりかまなくても飲み込めて刺激の少ないぬるいお粥のようなものばかり食べたくなるのですが、かまないと唾液はますます出にくくなるので逆効果です。
しっかり噛んで食べる習慣をつけ、唾液が出やすい環境を作ることが大事です。